パクリ学入門―ウェブ時代の創造力を鍛える36冊のブックガイド

パクリ学入門―ウェブ時代の創造力を鍛える36冊のブックガイド

パクリ学入門―ウェブ時代の創造力を鍛える36冊のブックガイド

 本書は、「つく(創・造・作)る」ことの現代的な意味を考えるために、文化や創造に関する本を紹介し、それによって、独創とは異なる創造についてを考えている。パッケージ化した商品や作品という形が崩れ、流動的で集団的な交流のなかで文化が創りだされる状況が生まれるかもしれない。

創造というものを逆転して考える必要が生まれた。共通の土台の上に新しい文化を創造するのではなく、共通の土台に立たないさまざまな人と文化がぶつかり合い、共通の基盤を探っていく。

 デジタル技術とネット社会は、単なる模倣を加速させる。作品の価値が低下し、情報の流動性が高まっている。今ウェブ上で起きているオープンな情報のあり方や、ネット上で多くの人が表現する側にまわり共同で創造を行うという動きは、そのひとつの表れだろう。

 個人が消費できる情報量が技術の進化で、飛躍的に増えることで、今までにはない創造の形が生まれつつあることは、想像できる。共同作業での創造に、場所も選ばない。一部の人間だけで行わなくてもよく、色々な出自の人が、共同で探りだす。その中から何も生まれないかもしれないし、すごい価値が生まれるかもしれない。文化や価値の担い手が、我々市民に移動してきていると思う。