フラットな組織って良いですか?

風通しのいい会社、社員が意見を言いやすい会社というのが、世間一般で働きやすい職場というイメージがあるかもしれませんが、果たしてそうでしょうか?実際は、単なるブラック企業の場合が多いのではないかと思います。

「社員の意見をフラットな立場で皆から受け入れる」ということは、社員が何でも自分で考える。つまり、裁量が多いと言えば、いい聞こえですが、裏を返せば、何でもやらせる、例えば、先輩社員や幹部社員が下の社歴の浅い人達にきつい仕事を強いて、「若いうちからいい経験をさせている」んだみたいな事を醸し出す可能性も大です。*1

経営する立場から見た場合、フラットな組織は、管理職を育成しないために、いざとなった時に、独裁権限を発揮することができます。中間管理職のような階層を育てないということは、いざとなれば、全て自分が目の届くようにすることができます。つまり、裁量・権限を階層単位で範囲を決めていないということは、自由であるともいえるし、いざとなれば細部に目を通す事ができるということです。
かつて、ダイエーの中内オーナーは、全ての店舗の店長に毎日事細かに、例えば、商品の陳列の仕方まで、指示を出していたそうです。それでずっとうまく行くならいいのですが、中間管理職が育たないという問題が発生します。*2

フラットな組織は、都合よくいえば、誰でも意見が言えるし、話が通る、実力主義みたいな風に一見見えますが、たいていは、社歴が長い方が有利です。その理由は、意思決定をする上で、優れたアイディアについてはあまり経験は関係ないですが、それ以外の組織の決定・進め方等は、過去の決定がガイドラインやルールになっていることが多いからです。
勿論過去の意思決定が間違っていた場合には、その限りにはありませんが、やり方、ノウハウを駆使した方がいい場合は、圧倒的に経験者のナレッジが有利です。*3

ナレッジ自体は、良いことですが、ナレッジが個人に依存していて、面倒くさいベテラン社員が増えている可能性も多々あります。彼らの言い分は大体同じような論理になります。特殊な作業・他に引継ぎ者がいない等で、自分でやってしまう方が早いということがほとんどでしょう。

フラットな組織って、結局のところ経営者が一部の優秀な幹部社員にいいように、会社を仕切らせて、良いところどりするために、最適化されていると思います。社員は、いざとなったら好きな事を言えるという意識で働けるし、序列もないので、上司に気を遣うということもあまり考えなくてもよい。

自分は、どんな組織で働きたいだろうか?と考えると、自分が好きなようにやらせてもらえる環境を選ぶと思います。好きなようにやらせてもらうための、説明であったりという面倒な事や、時間がある程度かかっても、最終的にはできそうな環境を選びます。フラットな組織が最善とは思いませんが、今のところ、人にオススメはあまりしませんが、これ以上に、自分が行きたくなる環境はないと思います。

*1:大企業では味わえない、若いウチから裁量あります。とか

*2:管理職なんていらない組織作りも勿論あると思います。

*3:過去の失敗をしっているために有利ということもあります。