ギリシャの債務不履行危機で思った事

ギリシャのデフォルト危機で試されるEUの将来、ユーロ安は年内続く| nikkei BPnet 〈日経BPネット〉 ギリシャのデフォルト危機で試されるEUの将来、ユーロ安は年内続く| nikkei BPnet 〈日経BPネット〉 ギリシャのデフォルト危機で試されるEUの将来、ユーロ安は年内続く| nikkei BPnet 〈日経BPネット〉 このエントリーをはてなブックマークに追加

ギリシャの債務不履行(デフォルト)危機の話がこの3連休の間に気になりました。もちろん専門家でもないので、結局どういう実務をすれば解決できるのかということではなく、今後の経緯がどうなるかが非常に興味があります。

ギリシャの2年物国債の金利が70%を超えたということですが、これは非常事態です。市場参加者はすでにギリシャのデフォルトを織り込んでいるということでしょう。金利が70%以上というのは、はっきり言って通常の状況ではあり得ない数字だからです。

 デフォルトを防ぐためにはドイツなどの援助が必要ですが、ドイツ国民はギリシャを救済することに反対しています。ただ、ギリシャがデフォルト(債務不履行)になってしまったら、EU全体が大きな影響を受けることになります。

 これから懸念されることは、この火種がポルトガルやイタリア、スペインに飛び火すると、欧州全体が非常に厳しい状態になってしまうということです。また、フランスやドイツなどの大手金融機関はギリシャ国債を多く保有しています。ギリシャがデフォルトになれば、これら金融機関の自己資本を毀損させますので金融不安が広がる可能性があります。ですからこの問題はギリシャだけの問題ではないのです。ユーロ圏あるいはEUの問題としてどう対応していくのか、世界中が注目しています。

 銀行に流動性を確保させるために、ECB(欧州中央銀行)をはじめとして、各国中央銀行はドル資金の市場への供給を行っています。米国のFRBや日銀も協力しており、サブプライム危機が起こったときと同じような、緊急時対応を始めています。

今回のギリシャのデフォルト危機問題を一刻も早く解決することが、EUにとっては最優先課題ですが、EUは国家ではなく、あくまでも経済統合体であり、当たり前かもしれませんが、政策決定には各国の世論が大きな影響を与えるでしょう。

今回債務超過に陥っている国は日本もそうだし、ギリシャ以外でもたくさんあります、欧州がギリシャのデフォルトを契機に、欧州版サブプライム危機のようなものが起きた場合には、欧州だけではなく世界中に飛び火することは必須な気がします。

ギリシャの債務は、欧州全体から見ればわずか数%です。つまり、EUが本気を出せば、簡単に解決できるはずの問題です。中途半端ゆえに一つの国を救うか否かという問題に振り回され続けているわけです。

 ですから、このギリシャの債務問題について違う見方をすれば、EUは今後、米国の州のように強い結び付きを目指すのか、それとも、結びつきを弱めて昔の状態に戻るのかという、ある意味、歴史的、経済的には興味深い節目にあるのです。

 ギリシャについてはデフォルトに加えて、ユーロ圏からの離脱もささやかれています。旧通貨であるドラクマを復活させれば、独自の通貨・金利政策をとることができるからです。いまのところ、フランスのサルコジ大統領やドイツのメルケル首相はこの噂を否定しています。ギリシャが離脱すれば、市場は次がどの国かと狙いを定めてしまうからです。

 EUとユーロ圏はある意味で、ヨーロッパが一つになれるかを試されているのだと思います。特にそれを問われているのがドイツ国民でしょう。ドイツの協力なしにはギリシャ問題は解決しません。いずれにしろ、EUは今、大きな転換期にいることは間違いありません。

今後のギリシャの扱い方をどうするかについては、歴史の転換点かもしれないので、どうなるかは非常に興味があります。
つまり、今回のギリシャの問題は、国家という概念と経済統合体という概念との違いがあらためて分かりました。そういう意味では、EUが国家になってしまえば、この問題はすぐに解決するのかもしれませんが、当然のことながら民族の問題や長い歴史的な経緯もありますから、国家になることは非常に難しいのも分かります。

こういう問題は解決のための最適な手法や効率の問題ではなく、歴史的な経緯という事も踏まえる必要があるので、余計に難しいのでしょう。歴史を背負った過去のレガシーなモノというのは、国家だけではなく、色々なところで面倒を引き起こすものなのかもしれません。