峠 (上巻) (新潮文庫)

峠 (上巻) (新潮文庫)

龍馬ブームですが、あえて以前から読みたかった司馬遼太郎の峠を読んでみた。
久々に歴史物小説。どちらかというとストーリーよりも、主人公の長岡藩の河井継之助
が幕末中央で、幕末の日本のために動けるぐらい能力があったのに、自分の長岡藩の為に
働いたのか。そこにはどんな思いがあったのか。

必ずしも上昇志向というか、大きなステージで戦える人がそこを好んで主戦場にして
戦っているとも限らないのが世の中で、在野にも能力が秀でているのにあえて
行かないっていうのはたくさんあるし、能力がそぐわなくてもどういう訳か、
表舞台に立たされて、それなりにやってるような人たちもたくさんいるわけで、
能力とか才能は、必ずしもそこまで大事ではない。どっちかというと坦懐というか
志とかが大半を占めるんでしょうし、環境も大きい。政治家とか医者の家に産まれた
とか、そんなの。

以下、話の中ででてきた、響いた言葉。

何者かに害をあたえる勇気のない者に善事ができるはずがない。

物事をやろうとするとき、その発想点はできるだけ単純明快でなければならぬ。複雑で欲深な発想や目的意識は結局、あぶ蜂とらずになる